個人の決算(3)

 売上の次に重要なのが、必要経費で、その年中の収入を得るために必要な売上原価や給料賃金、広告宣伝費、旅費交通費、支払家賃などの販売費及び一般管理費、その他の費用ですが、次のような点に注意して決算整理します。

 

 

売上原価

 

 必要経費になる商品などの売上原価は、商品などのその年中の仕入高と前年から繰り越した年初の棚卸高との合計額から、年末に残っている棚卸高を差し引いて計算します。

 この場合の「その年中の仕入高」には、その年中の掛け買いなどによる仕入れでまだ代金を支払っていないものも含まれます。

 掛け買いをその都度記帳しないで、支払いの際に仕入れとして記帳することとしている場合には、年末にまだ支払っていない掛け買いの金額を調べて仕入金額に追加します。

 

(注) 前年末に掛け買いとして仕入金額に含めた金額を、その年の支払いの際に仕入れとして記帳してい

   る場合には、その金額はその年分の仕入れから除外します。

 

 

未払経費

 

 その年中に実際に支払った経費だけではなく、例えば、その年中に支払うべき地代家賃などで未払のものは、未払経費としてその年分の必要経費になりますから、このような未払経費に当たるものを調べて追加記載します。

 しかし、少額な経費については、未払の整理をしないで、実際に支払った金額だけを必要経費にしても差し支えありません。

 

 

前払経費

 

 その年中に支払った経費の中に、翌年分以後の期間に対応する部分が含まれている場合は、その部分の金額はその年分の必要経費にはなりませんから、このような前払経費に当たるものを調べて除外します。

 しかし、その年中に支払った金額が1年以内の期間のものであるときは、そのままその年分の必要経費にしても差し支えありません。

 

 

未使用の消耗品

 

 未使用の消耗品の年末棚卸高は、その年分の必要経費にはなりませんから、その金額を消耗品費から除外します。

(注) 通常の年に比べて特に増えていないため棚卸しをしなかった消耗品については、消耗品費から除外す

   る必要はありません。

 

 前年末において消耗品費から除外した棚卸高がある場合には、その金額をその年分の消耗品費に加算します。

 

 

少額な減価償却資産

 

 使用可能期間が1年未満又は取得価額が10 万円未満のいわゆる少額な減価償却資産(国外リース資産やリース資産を除きます。)については、減価償却をしないで、使用した時にその取得価額がそのまま必要経費になります。

 しかし、未使用の少額な減価償却資産で棚卸しをしたものについてはの「未使用の消耗品」の場合と同様の整理をします。

 

 

一括償却資産

 

 取得価額が10 万円以上20 万円未満の減価償却資産(国外リース資産やリース資産、少額な減価償却資産を除きます。)については、減価償却をしないでその使用した年以後3年間の各年分において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費にすることができます。

 

 

 家事上の費用

 

 ① 衣料費や食費などの家事上の費用

 ② 店舗兼住宅について支払った地代家賃や火災保険料、固定資産税、修繕費などのうち、住宅部分に対

  応する費用

 ③ 水道料や電気料、燃料費

 

 などのうちに含まれている家事分の費用は、必要経費にはなりません。

 必要経費の中にこのような費用が含まれている場合には、これらの金額を除外します。

 

(注) 上の②や③などの費用を家事関連費といいますが、家事関連費の家事分と事業分との区分は、使用

   面積や保険金額、点灯時間などの適切な基準によってあん分して計算します。