年末調整・扶養控除等申告書(7)

 

 C欄の勤労学生について

 

 税理士事務所所員が夜間の簿記学校等に通って自己研さんしている場合も含まれるのでしょうか?

勤労学生とは所得者本人が、次の⑴、⑵及び⑶のいずれにも該当する人をいいます。

 

 

 

⑴ 次に掲げる学校等の児童、生徒、学生又は訓練生であること。

 ① 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学

  校

 ② 国、地方公共団体、学校法人、準学校法人、独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者健康福

  祉機構、日本赤十字社、商工会議所、健康保険組合、健康保険組合連合会、国民健康保険団体連合会、

  国家公務員共済組合連合会、社会福祉法人、宗教法人、一般社団法人、一般財団法人、医療事業を行う

  農業協同組合連合会、医療法人、文部科学大臣が定める基準を満たす専修学校又は各種学校(以下「専

  修学校等」といいます。)を設置する者の設置した専修学校等で、職業に必要な技術の教授をするなど

  一定の要件に該当する課程を履修させるもの

 ③ 認定職業訓練を行う職業訓練法人で、一定の要件に該当する課程を履修させるもの

 

 

⑵ 合計所得金額が65万円以下であること。

 

(注) 給与所得だけの場合は、本年中の給与の収入金額が130万円以下であれば、合計所得金額が65万

   円以下になります。

 

 

⑶ 合計所得金額のうち給与所得等以外の所得金額が10万円以下であること。

 

(注) 「給与所得等」とは、自分の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得をいいま

   す。

 

 所員にかかる(2)の合計所得金額は実際65万円以上になるため、この規定の適用を受ける所員は一人もいません。過酷な季節労働者でありながら、睡眠時間を削り、深夜、早朝と必死で勉強している所員には酷ですが、税理士事務所に勤務することは、所員らの業務の遂行という側面以外に,所員らの勉強ないし修行という側面も有しているのも事実です。そんなタフさが要求されるの現実の社会です。

 

 

 

 しかし、残業代について、所長はケチってはいけません。所員が勝訴した判決もあります。(以下)

 

 

 実際のところ,税理士でない税理士事務所又は税理士法人の従業員が,税理士事務所又は税理士法人の内部において,税理士又は税理士法人の指示により,税理士又は税理士法人が行うべき税務書類の作成等の業務を,単なる補助者にとどまらない立場で事実上行うという場合もあり得る。

 

 このような税理士以外の従業員による事実上の税務書類の作成等の業務について,実質的に「税理士の業務」を行うものと評価できるでしょうか?

 

 そもそも税理士又は税理士法人でない者が業として他人の求めに応じて税務書類の作成等を行うということ自体が法律上制限されていることに照らせば,税理士以外の従業員による事実上の税務書類の作成等の業務は税理士又は税理士法人を労務の提供先として行われるとともに,その成果が当該税理士又は税理士法人を主体とする業務として顕出されることが必要であるというべきである。

 

 この点から所員には専門業務型裁量労働制が適用されないものと認められ,所長は所員に対し,時間外労働についての割増賃金を支払う義務があるというべきである。

 

割増賃金等請求事件

東京地方裁判所平成24年(ワ)第15937号

平成25年9月26日民事第11部判決

口頭弁論終結日 平成25年7月18日