一回的な行為として見た場合所得源泉とは認め難いものであっても,これが強度に連続することによって,その所得が質的に変化して継続性,恒常性を獲得し,所得源泉性を有することとなる場合があることは否定できない。
裁判所は上記の通り述べる。
被告人は,
平成16年から平成21年にかけて,全競馬場の新馬戦及び障害レースを除く
全てのレースにおいて馬券を購入した。
競馬開催日1日当たり数百から多いときには1000を超える買い目について馬券を購入し,
その購入金額は1日1000万円以上に上ることがほとんどであり,
その結果,平成19年度から平成21年度の3年間で馬券購入金額は合計28億円を超えている。
被告人は,
特定のレースにおいて特定の買い目を当てることによって利益を出すのではなく,
A-PAT及び本件ソフトを用いることにより,
ほぼ全てのレースにおいて無差別に,
専ら回収率に着目して過去の競馬データの分析結果から導き出された一定の条件に合致するものとして
機械的に選択された馬券を網羅的に購入することで,
長期的観点から全体として利益を得ようと考え,
実際にもそのような方法により馬券を購入し,
現に5年間にわたって毎年多額の利益を得てきた。
そして、裁判所は
被告人の本件馬券購入行為は,
その態様からすれば,競馬を娯楽として楽しむためではなく,
むしろ利益を得るための資産運用の一種として行われたものと理解することができ,
被告人も,その供述するとおり,そのようなものとして捉えていたものと認められる
(このことは,被告人が競馬中継専用のケーブルテレビを契約してたまにこれを見ていたからといって,左右されるものではない。)。
と、述べる。