馬券裁判(7)

 検察官は,馬券を購入する行為は,払戻金を得られるか否かが偶然の作用によるという射倖性が極めて強い行為であることから,社会通念上,営利を目的とする継続的行為と位置づけることは明らかに失当であると主張する。

 

 

 

 

 裁判所は、確かに,馬券購入行為が有する高度の投機性及び射倖性から,社会通念上,競馬とはギャンブルであって,生計を立てるためにこれを利用することは想定し難いものであり,むしろ余暇に楽しむ娯楽として認識されている、と判示する。

  また,馬券の購入を継続して行ったとしても,一般的には,前記のとおり馬券購入が払戻金獲得に結び付くかは偶然に左右されることに加え,馬券購入者は投票ごとにその都度の判断に基づいて買い目を選択し馬券を購入しているといえることからすれば,各馬券購入行為の間に継続性又は回帰性があるとは認められず,繰り返し馬券を購入したとしてもその払戻金に係る所得が質的に変化しているとはいい難い。

 

 よって,原則として,馬券購入行為については,所得源泉としての継続性,恒常性が認められず,当該行為から生じた所得は一時所得に該当する、と判示する。

 

 本件にこれを当てはめた場合どのように解するのが適当であろうか?