馬券裁判(3)

 被告人は,PAT口座の現在の残高金額に一定の係数を乗じてオッズで除した金額式を設定した。

 

 被告人が,上記のようにオッズに反比例するように購入金額を決定する金額式を設定したのは,高倍率のオッズの馬券が的中するか否かに全体の成績が大きく左右されることのないようにして,収支を安定させるためである。

 

 また,上記係数は,被告人が過去の競馬データを用いてシミュレーションした結果導き出した,PAT口座の残高が効率よく増えるような最適値である。

 

 本件ソフトにはユーザー抽出条件によって抽出された買い目を,A-PATを通じ,ユーザーによるパソコン等の操作を要せず自動的に購入する機能がある。

 

 自動運転ウィンドウにある「自動投票」アイコンをクリックすることで,自動購入機能はオンになる。

 

 そして,この自動購入機能に自動メンテナンス機能及び当日情報自動取得機能を組み合わせることによって,ユーザーが長期不在であっても,パソコンの電源を切らない限り,本件ソフトが自動的にダウンロードするオッズ等の情報を基に,馬券を自動的に購入し続けることが可能となる。

 

 

 被告人は,前記のとおりに本件ソフトの設定が完了した後は,本件ソフトの自動購入機能,自動メンテナンス機能及び当日情報自動取得機能を使用し,全ての競馬場の,新馬戦と障害レースを除く全てのレースにおいて,ユーザー抽出条件によって抽出した買い目の馬券を,前記金額式によって算出した金額分購入していた。

 

 被告人は,土日はパソコンをつけたまま外出することが多く,ときには,2週間以上パソコンをつけたままにして自動的に馬券を購入したこともある。