新興国における課税問題(12)

 

 中国税務当局の移転価格調査等については、注意する点がまだあります。

 

 

 

○ 一般の税務調査における企業による自己修正

 

 中国では、移転価格調査ではなく、一般の税務調査において自己修正申告を求めることがある。移転価格案件の立案は国家税務総局が管理しており、地方税務当局が正式な移転価格調査を行うためには、国家税務総局まで案件を上げなければならないため、手続きが面倒であること等が背景にあると言われている。

 なお、企業が自己修正に応じてしまうと、相互協議の俎上に乗せることが難しくなる等の問題があるため、注意が必要である。

 

 

○ 追跡管理期間

 

 中国では、移転価格税制において、基本的には過去10年間遡って課税する権限が認められており、更に、移転価格の処分が終わった後の5年間は追跡管理の期間とされるため、少なくとも15年間が課税対象になるリスクがあり、納税者の事業運営に多大な影響を与える。

 

 

 

 

 

 中国国内でも、地域により税制の執行の差があるものもあります。

 

・ 中国では、外国人の社会保険への加入を義務づける法律(「中国国内で就業する外国人の社会保険参加暫定弁法」)が、2011年9月に発出された(同年10月施行)。制度導入当時、本法律が施行されていたのは、北京のみであった(その後、導入都市を順次拡大中)。 このような状況が生じる要因としては、頻繁な通達の発出等により、地方政府において受入体制などの準備が未整備であること、上海などでは外国人が多く本法律の与える影響が多大になること、税収目標の達成度合い等にあると言われている。