新興国における課税問題(10)

 

 わが国もそうですが、新興国では、税制が複雑かつ頻繁に制度改正がなされるため、専門家や関係機関等を通じ、随時最新の情報を入手することが必要となります。

 

 

 

【中国】

 

・ 通達等が年間数百本発出され、中には、非公開の通達等も存在し、それを根拠に課税することもあると言われる。

 

・ 多くの通達等は、規定が曖昧で抽象的な表現になっているため、これが地方税務当局や税務担当官の裁量の余地を広く認める原因になっている。

 

・ 新しく発出された通達等が、公布日を遡って適用されることがある。

 

・ 取引毎に「発票」という公的な領収書が必要となり、発票がないと損金算入することができない。

 

 

 

 

【インド】

 

・ 非常に複雑な税制となっており、また頻繁に改正される(即日施行されるものもある)。

 

・ 一連の取引において、複数の間接税が課されるため、税額の算定が複雑であり、かつ、高率となっている。

 

 

 

 

【インドネシア】

 

・ 頻繁に通達等が改正され、かつ即日施行・遡及適用される。

 

 

 

 

 

【ブラジル】

 

・ 連邦税、州税、市税等が毎月のように改正される。

 

・ 暫定措置法という形で突然発出され、新税や増税以外であれば即日施行される。

 

・ 移転価格課税において複雑で柔軟性に欠ける執行がなされる。

 

※製品(部品)1点毎の税率計算が求められるため、税務処理が非常に繁雑になる。また輸入取引の場合、適正な取引価格の算定は、個別にその取引時における実際の為替レートを採用しなければならず、前提とした為替相場と実際の取引時の為替相場との差異を容認する柔軟性が備えられていない。

 

 

 

 

【ベトナム】

 

・ 税制改正が頻繁に行われる。また、法令や通達等が必ずしも明確に規定されているとは限らず、多くのルーリングがその解釈を規定するために発行されるが、法令の趣旨とは明らかに異なるルーリングが発行されることがある。さらに、同様のルーリングに対しても、税務当局ごとの解釈が異なるため、同一の取引につき、ある納税者は課税を受け、一方で他の納税者は課税を受けることがない等の税務不平等を招いている。