新興国における課税問題(6)

 

 新興国の税務当局にかかるロイヤリティの範囲に関する見解と、本国企業の見解とが相違する場合があります。

 

 

【インド】

 

・ わが国親会社が現地子会社に人材派遣のサービスを提供した場合の対価の取扱いについて、事業所得とし

 て法人税の課税対象となるのか、ロイヤリティもしくは技術サービス料として源泉徴収の対象となるかと

 いう点で、企業と税務当局との間で見解が異なることがあります。

 

 

 インド子会社がわが国親法人から何らかの技術的役務の提供を受けた場合には、その支払いに際し、インド子会社が10%の源泉課税をインドで納めることとなります。

 

 インドの法人税率は30%ですが、5%の課徴金(Surcharge)および3%の教育目的税(Education Cess)が課されるため実行税率は32.445%。外国法人(外国銀行の支店など)への法人税率は40%ですが、2%の課徴金、3%の教育目的税が課されるため、実効税率は42.024%。なお課税対象所得が1,000万ルピーを下回る場合の法人税率は課徴金の対象外となり30.90%、外国法人は同41.20%となります。

 

 

 

【タイ】

 

・ わが国親会社から現地子会社の工場の製造ラインの立上げ支援又は技術指導、若しくは機械装置の据付の

 ために人を派遣した場合において、現地税務当局はノウハウや技術情報といった知的財産が現地子会社に

 移転したと考え、その派遣の対価はロイヤリティに準ずるものとして源泉徴収が求められます。一方で、

 わが国の税務当局が当該対価は事業所得に該当すると判断する場合があり、その際は外国税額控除の対象

 とならないため、二重課税が残ります。