新興国における課税問題(4)

 

 わが国親会社が現地子会社に対して技術提供を行い、その対価をロイヤリティという形で回収する場合に、進出先国の規制等が問題となるケースがあります。また、現地子会社から我が国親会社へ支払うロイヤリティの範囲に関して関係者の見解の相違が生じる場合もあります。

 

 タックス・ヘイブン国にある本社にロイヤリティーを支払う場合に、移転価格税制等の適用を考慮するという以上に、新興国が当該税制を利用していることに留意が必要となるのです。

 

 

 

 

送金規制について

 

 

【ブラジル】

 

・ 特許・ノウハウ等のライセンス契約の対価となるロイヤリティを海外に送金するには国立工業所有権院

(INPI)等に登録することが必要とされる。しかし、登録の際にINPIからロイヤリティ料率(上限5%)や

 契約の有効期間(原則上限5年)について修正を指示され、こうした指示に従わない限りロイヤリティの

 海外送金ができない。

 

 

【中国】

 

・ 中国では、外為規制が非常に厳しく、ロイヤリティや使用料等の支払いを行う場合には、現地において複

 雑な送金手続きを行わなければならない。具体的には、契約書、登記証書、納税証明書等、複数の必要書

 類を税務当局や銀行に提出し、登記・確認を受けなければ送金できない。また、税務当局が、ロイヤリテ

 ィ料率等が高い等の理由により、契約書等の内容を認めず、支払はおろか登記そのものができないことが

 ある。