連帯保証(20)

 

 本件譲渡は、担保付のままでなされたから、控訴人は、売却代金3億4850万円よりCの債務引受額3億1500万円を引いた3350万円を受領したにすぎず、この額から取得額167万5000円の控除、居住用財産に基づく3000万円の控除、売買に伴う経費の控除をすると、譲渡所得はないし、控訴人の乙に対する求償権も存在しないし、求償権を行使することもできない

 

 という控訴人の主張に対し、裁判所の判断は以下の通りでした。

 

 

 弁論の全趣旨等によれば、控訴人は、平成8年4月1日本件譲渡物件をCに対し3億4850万円で売却し、同日付で土地建物売買契約書が作成されたこと、

 

 この売買代金のうち、3億1500万円については、B銀行がCに貸付け(証書貸付)たこと、

 

 Cはこの3億1500万円を控訴人の口座に振り込み、控訴人はこれを出金して、本件手形債務の支払いに充てたこと、

 

 本件譲渡物件について、上記売買を原因として、平成10年3月4日付でCに対する所有権移転登記が経由されていること、

 

 AとCは平成8年8月30日、CがAの確定根抵当権債務を免責的に引き受ける旨の契約を締結し、同日、本件譲渡物件につき債務者をAとして設定されていた根抵当権を免責的債務引受を原因として債務者をCに変更する旨の登記を了したこと

 

 が認められる。

 

 

 以上に認定したところによれば、控訴人が本件譲渡物件を平成8年4月1日、Cに上記代金で売却したことは明らかであり、その後、上記免責的債務引受契約を締結して、Cは、AがB銀行に対して負担していた債務を免責的に引き受けこの債務を担保するために、本件譲渡物件につき設定されていた抵当権の債務者をCに変更したことが認められる。

 

 

 そうすると、控訴人が本件譲渡による所得を得たことは明らかであり、求償権が存在し、求償権を行使できることも明らかである。

 

 

 したがって、当審における控訴人の上記主張は理由がない。