控訴人とB銀行間における求償権不行使の合意について裁判所の判断は以下の通りです。
弁論の全趣旨等によれば、控訴人は、B銀行との間で、本件譲渡物件につき、債務者をA、根抵当権設定者兼連帯保証人を控訴人、根抵当権者をB銀行とする根抵当権設定契約を締結したこと
同契約には控訴人が本件物件の処分、保証債務の弁済等により、代位によって取得した権利は、B銀行の同意がなければ行使しない旨の条項があること
B銀行は控訴人に対し上記同意を与えたことがないことが認められる。
しかし、上記代位権不行使の特約は、代位によって取得した権利に関するものであり、控訴人が保証債務を弁済したことによる乙に対する求償権は、民法465条1項、442条1項に基づくものであって、代位によって取得した権利ではないから、上記代位権不行使の特約により制限されない。
したがって、控訴人はB銀行の同意がなくても乙に対し求償権を行使することができる。
よって、当審における控訴人の主張(3)は理由がない。