求償権の存否と、その不行使の合意についての主張は以下の通りでした。
(2) 連帯保証人間で求償権が成立する要件について
保証人の求償権は、自己の負担部分を超える額を支払ったときに限り許されるところ、仮に、控訴人
の負担割合が2分の1であるとしても、債務額は7億円であり、控訴人が代位弁済した額は3億1829万
6639円である。したがって、控訴人の代位弁済額は主債務の半分に満たないから、乙に対し、求償権を
取得しない。
(3) 控訴人とB銀行間における求償権不行使の合意について(争点(3)ア)
控訴人が乙に求償するためには、B銀行の同意を要する旨の合意が存在するところ(以下「代位権不
行使の特約」という。)、B銀行は同意しないので、控訴人は乙に対し、求償できない。
(4) 乙の支払能力について
乙は、次のとおり、支払能力はないから、控訴人は乙に対し、求償できない。
ア 乙は、A等の連帯保証人として、約8億円の債務を負っており、これらの債務の履行を請求されて
いる。
イ 乙は、平成8年8月30日当時、数千万円の負債があった。
ウ 乙は、めぼしい資産を有していない。
エ 乙は、Cから年2100万円位の給与を得ているが、それは、上記借入金の返済分を考慮し加算された
ものであり、実際には家族6人が生活を維持していける程度の月70万円しかない。