連帯保証(14)

 

 「あなたに迷惑をかけないから」という黙示の合意等についての主張は以下の通りでした。

 

 

 控訴人の主張

 

 (1) 乙に負担割合はないことについて

 

  〈1〉 AのB銀行に対する債務についての乙の連帯保証は、本件譲渡物件及びAが本件連帯保証当時

     担保提供していた物件を処分しても不足が出た場合に責任を負うという補充的なものである。

 

  〈2〉 控訴人及び乙の本件連帯保証に関する内部的負担割合は、100対零とする明示又は黙示の合意

     があった。すなわち、

 

 

    ア 主たる債務者が法人のとき、その法人の代表者と代表者以外の者が連帯保証人となった場合、

     代表者と代表者以外の保証人との内部負担割合は、100対零である。

 

    イ 担保を処分した代表者が保証人に求償することは、常識はずれのことである。

 

    ウ 控訴人は、乙に対し、保証の趣旨について、「会社に何かあったときは担保物件を処分して払

     う、十分な担保提供をしているのでお前に迷惑をかけない」と説明し、乙はそれを了解した。

 

    エ 控訴人がB銀行に本件譲渡物件を担保提供するに当たり、物上保証人として債務を履行した場

     合、B銀行の了解なくしては代位行使しないこと、B銀行に求められればいつでも譲渡すること

     を約していることからすれば、B銀行に対し、他の連帯保証人への求償権を行使しない(代位を

     行わない)ことを確約するものであり、これによると、控訴人が本件譲渡物件を処分したとき、

     保証人に対して求償権を行使する意思がなかったことをうかがうことができる。