連帯保証(13)

 

 争点2については以下のように判示し、

 

 

争点2について

 

 (1) 乙と原告はAの前記約束手形にかかる原告のB銀行に対する弁済額合計3億1829万6639円に

   ついて、共にAの連帯保証人であったものと認められるところ、連帯保証人である両者間において、

   その負担割合について、格別の合意をした事実を認めるに足りる証拠はない。

 

 

    原告は、乙が原告の長男であること、Aの代表取締役は原告であって、乙は平取締役にすぎないこ

   とを理由に、乙の負担割合を零とすべきである旨主張するが、主張にかかる事実をもっては、上記負

   担割合に変動を与える事実とはいえない。

 

 

    そうすると、乙と原告はAの前記約束手形にかかる原告のB銀行に対する弁済額合計3億1829

   万6639円について、2分の1ずつ負担すべきであり、原告は乙に対して、2分の1の1億591

   4万8319円の求償権を有しているものというべきである。

 

 

 (2) 原告は、原告が2分の1の負担割合を負うとしても、原告は未だ負担割合を超える弁済をしていない

   から、乙に対する求償権は発生していないとも主張している。

 

 

    しかし、前記のとおり、本件は、連帯保証人である乙に求償しうる手形債務のうちの一部の手形債

   務について、原告が全額保証債務を履行した事案である。

 

 

    そうして、原告と乙との共同保証人という関係における求償権は、個別の手形債務の消滅によって

   それぞれ発生することはいうまでもない。

 

 

    しかるところ、原告は原告の負担割合2分の1を超える合計1億5914万8320円を支払って

   いるものであるから、この分の求償権が乙に対して発生していることは明らかである。

 

 

 (3) なお、原告において、乙に対して求償権の行使が不可能であるとの主張立証はない。

 

 

 (4) そうすると、本件譲渡物件の売却代金からB銀行に対し支払った3億2000万円のうち、1億59

   14万8320円については、原告の乙に対する求償権が発生し、乙に対する求償権行使は可能であ

   るから、

 

 

   この部分につき所得税法64条2項の適用はない。

 

 

   すると、同金額については所得税法64条2項の適用はないとする前提でなされた本件課税処分に原

  告主張の違法事由はない。

 

 

 としました。

 

  しかし、原告はあきらめず、高裁に控訴するのです。

 

  先日までに検討した「黙示の合意」を主張するのです。

  また、乙の支払能力、乙に対する求償権の行使不能性、を補充することになります。