連帯保証(4)

 

 また次のように裁判所は判示しました。

 

 

 アマギ導熱が静岡銀行から借入金及び保証債務弁済額明細書借入欄ア記載の借入れをするに先立って、正登及び幸宏が石川に対し、右借入金債務及びこれに伴う本件信用保証委託契約に基づく求償債権について連帯保証人となることを依頼するに際し、充分な物的担保があるから迷惑をかける事態にならないなどと説明したことが認められ、また、アマギ導熱が借入をする際にも、右のような説明を一応の前提として、石川に対し、同様の連帯保証人となることを依頼したものと推認することができる。

 

 

 しかしながら、右の依頼の経緯に原告自身が関与していたとか、原告も正登らの右依頼の内容を知った上でこれを是認している旨石川に伝えたとかいう事実を認めるに足りる証拠はなく、したがって、正登及び幸宏がした右の説明が、原告と石川との関係においても、それぞれの連帯保証の前提とされていたものと断定することはできない。

 

 

 のみならず、正登らの右の説明が、相連帯保証人としての立場のものではなく、主たる債務者であるアマギ導熱の経営者としての立場のものであることはその趣旨に照らして明らかであるべきところ、

 

 迷惑をかけないなどとの言辞は主たる債務者ないしその経営者が他に保証を依頼する際の単なる常套句であるのが通常であるから、

 

 

 正登及び幸宏が、石川に連帯保証を依頼する際に右のような説明をしたからといって、それが、主たる債務者であるアマギ導熱の経営者の立場からその主たる債務の履行に努力する旨ないし主たる債務の履行を確実に行うことができる見込みがあるという旨の表明したものであるというに止まらず、連帯保証人としての立場の正登及び幸宏が、相連帯保証人である石川との間で、石川の負担割合を零とする旨を約する趣旨までを含むものとは直ちに認めることができない。