連帯保証(3)

 

争いのない事実は以下の通りです。

 

 正登と、石川とは、昭和39年以前からの知り合いで、石川が同年事業を興すに当たっては、正登が石川を静岡銀行三島支店に紹介し、石川が同銀行から資金の借入を受けるに際しては正登が保証人となり、さらに石川の結婚式においては、正登が媒酌人を務めるなどして、親密な関係を有していた。

 

 

 昭和58年ころ、アマギ導熱は、静岡銀行を主要取引銀行とし、そのころから同銀行より継続的に融資を受けていたが、その融資の開始に当たり、同銀行の融資担当者から、借入債務の連帯保証人に正登、幸宏、原告らの親族の外、親族外の者を一名入れるよう指示されたので、当時のアマギ導熱社長の幸宏が実父であり同社会長であった正登と相談して、正登と懇意にしており、当時、株式会社三石電化センターを経営して相当の収入と資産とを有し、しかも原告らと縁戚関係にない石川に連帯保証人となることを依頼することとした。

 

 

 正登は、右相談の後、石川に対し、静岡銀行から、連帯保証人に親族外の者を入れるように指示があったことを説明し、さらに、すでに静岡銀行に対しては、原告名義の資産等充分な物的担保を供してあるから、石川に迷惑をかけるような事態にはならないなどと申し述べて、静岡銀行からの借入金債務及びそれに伴う信用保証協会との本件信用保証委託契約に基づく求償債権について連帯保証人となってくれるように依頼し、石川は、正登の右依頼を承諾した。

 

 

 幸宏は、正登より、石川の承諾が得られたことを聞いたうえ、後日、必要な書類を持参して石川を訪ね、石川は、当該書類に署名押印することによって、別紙借入金及び保証債務弁済額証明書の順号5の借入欄アの記載のアマギ導熱の静岡銀行からの借入に際し、静岡銀行に対し、アマギ導熱の借入金債務につき、連帯保証する旨約するとともに、信用保証協会に対しても本件信用保証委託契約に基づくアマギ導熱の求償金債務につき、連帯保証する旨約した。

 

 

 その後も、アマギ導熱が別紙借入金額及び保証債務弁済額明細書の順号5のイないしカ欄のとおり静岡銀行から借入をした際には、正登が、事前に石川が電話して、保証人となることを依頼した上で、幸宏が、石川方を訪ねて必要書類に署名押印をもらうことにより、石川が同銀行に対して借入金債務につき、また、信用保証協会に対し求償金債務につき連帯保証契約する旨約した。

 

 

 アマギ導熱の静岡銀行からの借入れの当時、正登所有名義の別紙物件目録1、3記載の土地建物、原告所有名義の2、19記載の土地、アマギ導熱所有名義のき同目録18記載の土地について、債務者をアマギ導熱、根抵当債権者静岡銀行、極度額を合計9500万円とする根抵当権が設定されていた。

 

 

 アマギ導熱が事実上倒産するに至った昭和62年9月当時、アマギ導熱の静岡銀行からの借入残高は8049万円に達していたが、債務者をアマギ導熱、根抵当権者を静岡銀行とする根抵当権の極度額の総額は5500万円であり、外に根担保預金403万余円が設定されていた。