平成27年1月より事業承継税制が拡充(相続税改正と併せて施行)されます。
現行制度概要
○ 後継者(先代経営者の親族に限る)が、先代経営者から相続・贈与により非上場株式を取得した場合に、そ
の80%分(贈与は100%分)の納税が猶予されます。
○ 相続・贈与後5年間は以下の要件を満たさないと納税猶予は打ち切られます。
・雇用の8割以上を毎年維持
・後継者が、会社の代表者を継続
・先代経営者が役員(有給)を退任(贈与税の場合) 等
○ 5年後以降も株式を保有し事業を継続すれば、後継者死亡(又は会社倒産)時点で納税が免除されます。
改正概要
(1) 親族外承継の対象化 ~親族に限らず適任者を後継者に
後継者は、先代経営者の親族に限定されていたのが親族外承継も対象とされます。
(2) 雇用8割維持要件の緩和 ~毎年の景気変動に配慮
雇用の8割以上を「5年間毎年」維持する要件が雇用の8割以上を「5年間平均」で評価することと
なります。
(3) 納税猶予打ち切りリスクの緩和 ~利子税負担を軽減、事業の再出発に配慮
要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要ですが、利子税率
が引下げられます(現行2.1%→0.9%)。承継5年超の場合、5年間の利子税が免除されます。
相続・贈与から5年後以降は、後継者の死亡又は会社倒産により納税免除だったのが、民事再生、会
社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際には、納税猶予額を再計算し、一部免除されます。
(4) 役員退任要件の緩和 ~先代経営者の信用力を活用
先代経営者は、贈与時に役員を退任することとされていましたが、贈与時の役員退任要件が代表者退
任要件に変更されます。(有給役員として残留可)
(5) 事前確認制度の廃止 ~手続の簡素化
制度利用の前に、経済産業大臣の「認定」に加えて「事前確認」を受けておく必要があったのが、事
前確認制度が廃止されます。
(6) 債務控除方式の変更 ~債務の相続があっても株式の納税猶予をフル活用できるように
猶予税額の計算で先代経営者の個人債務・葬式費用を控除するため、猶予税額が少なく算出されまし
たが、先代経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除することとなります。