確定申告(37)

 

 居住者Aは、ゴルフ練習場等を経営していましたが、平成24年中、事業等に失敗して債務超過の状態に陥り、回復不能の状態となってしまいました。

 

 Aの兄である居住者Bは、平成24年年末にAの債務の全部を引き受けるとともに、Aの全財産を譲受けました。Aは、資力喪失の状態です。

 

 

 Aの財産債務は次のとおりでした。

 

 財産 土地家屋 15,000万円 (取得価額5,000万円)

 

 債務 銀行借入金 16,000万円

    街の金融業者からの借入金 5,000万円

 

 この場合、Aの土地家屋の譲渡について課税されますか?

 

 

 本件では資産を譲渡して、その対価で債務を弁済するものでないことから、所得税法施行令第26条に規定する場合に当然に該当するとはいえませんが、資力喪失の状態の下で、債務の引受けの対価として資産を譲渡する場合には、資産の譲渡対価によって債務を弁済したのと同様の経済的効果が生ずるので、資力を喪失して債務を弁済することが困難であり、かつ、強制換価手続の執行が避けられないと認められる状況の下で、本件のような債務の引受けと資産の譲渡が行われたときは、その譲渡に係る所得については、所得税法第9条第1項第10号に該当するため、非課税として取扱って差し支えありません。

 

(非課税とされる資力喪失による譲渡所得)

 

 所得税法施行令第26条  法第9条第1項第10号 (非課税所得)に規定する政令で定める所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ、国税通則法 (昭和37年法律第66号)第3条第10号 (定義)に規定する強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとする。