確定申告(25)

 

 A社は戦後、焼け野原であったBの所有する土地を当初、無償で貸借し、その土地に木造の営業所を建設し業務を継続してきました。そののち賃借料を支払うこととなりましたが、権利金及び更新料の授受はありませんでした。

 

 平成24年6月、A社は、建物の老朽化等によりその建物で営業することができなくなったため、新たに営業所を賃借することとして当該契約を解除しました。

 

 契約の解除に当たって、A社がBに土地を無償で返還した場合、Bの平成24年分の所得税の課税関係はどのようになりますか。

 

 

 

(注)

 

1 土地賃貸借契約を基とする土地賃貸借料改定契約において、契約の解除に当たっては、「賃借人におい

 て、他の場所に新営業所の建設を完了した場合、賃借人は業務開始前6か月の予告をもって本契約を解約

 することを得る」とされています。

 

2 現在Bの所有する土地のある地域においても土地の賃借に当たっては、権利金を授受する取引上の慣行が

 あります。

 

 

 

 

 法人が借地の上に存する自己の建物等を借地権の価額の全部又は一部に相当する金額を含めない価額で返還した場合、通常当該借地権の価額に相当する立退料その他これに類する一時金を授受する取引上の慣行があるにもかかわらず、その額の全部又は一部に相当する金額を収受しなかった場合には、原則として通常収受すべき借地権の対価の額等に相当する金額を相手方に贈与したものとして取り扱います。

 

 

 借地の返還に当たり通常収受すべき借地権の対価の額等収受していないときであっても、その収受をしないことが次に掲げるような理由によるものであるときは、課税関係は生じません。

 

 

 借地上の建物が著しく老朽化したことその他これに類する事由により、借地権が消滅し、又はこれを存続させることが困難であると認められる事情が生じたこと。

 

 

 したがって、立退料等の金銭の授受がない場合であっても、契約の解除条項に従って解除するものであることから、本件の場合、賃借人及び賃貸人のいずれも、課税関係は生じません。