確定申告(22)

 

 相続時精算課税は、相続税が将来かからないと見込まれる親子間の贈与にもメリットがある制度です。

 

 従来の暦年課税制度の下では、相続財産の価額が相続税の基礎控除以下のため相続税額が算出されないケースであっても、生前贈与で資産を移転すると贈与税の負担が生じていました。

 

 相続時精算課税の下では、上記のケースで、特別控除額2,500万円以内の生前贈与については贈与時、相続時を通じて税額ゼロとなります

 

 

 

しかし、デメリットとメリットを検討する必要があります。

 

 

 

 

 同一年中に贈与を受けた財産について相続時精算課税と暦年課税の適用を受ける場合において、暦年課税に係る財産の価額が基礎控除額(110万円)以下であっても、当該暦年課税に係る財産についても申告書に記載する必要が生じます。 

 

 したがって、贈与を受けた財産について相続時精算課税の適用を受けることとなり、暦年課税に係る財産の価額が基礎控除額(110万円)以下であっても暦年課税に係る財産について申告書に記載する必要があるのです。

 

 

 たとえば、前年に実父からの贈与につき相続時精算課税適用の贈与税の申告をしています。翌年に私は実父から現金50万円の贈与を受けました、という場合について。

 

 この場合は、実父からの贈与については、前年に相続時精算課税の適用を受けていますから、暦年課税に係る贈与税の基礎控除の適用はなく相続時精算課税による贈与税の申告が必要です。

 

 なお、期限内申告でない場合は、相続時精算課税の特別控除が適用されず、20%の税率で贈与税がかかります。また、加算税や延滞税がかかる場合があります。

 

 メリットにもデメリットにもなる点が1つありまして、相続時精算課税の対象となる財産の時価が変動する場合、贈与時の時価を、特例適用時、相続発生時にも用いることとなるため、現金以外のものを贈与する場合には注意が必要となるのです。