日本税理士会連合会平成25年度税制改正に関する建議書より(1)

 

 わが国の全就業者のうち約9割が給与所得者であり、その大半の者が年末調整で課税関係が完結している。平成 24 年度税制改正により、給与所得控除の上限が設定されるとともに、特定支出控除が大幅に拡充されたことにより、確定申告をする機会が増加することになるが、それでもなお多くの者が年末調整で課税関係が終了するものと思われる。

 

 申告納税方式を原則とするわが国税制下での年末調整制度は、納税者の大半に自ら申告納税をする義務を放棄させ、納税者としての政治参加の意識を低下させる結果にもなっているので、給与所得者に対する課税については、次のように見直すべきである。

 

(1) 給与所得者の個人情報に係るプライバシーを保護する観点から、マイナンバー制度の導入も踏まえ

  つつ、年末調整制度を廃止又は少なくとも選択制とし、原則として申告納税方式にすべきである。

 

(2) 給与所得控除のあり方をさらに見直し、概算控除額を実額控除額に近づけ、他の所得との公平を図るべ

  きである。