100万円の現金を米ドルに交換し、その後、この米ドルを他の外国通貨に交換した場合、ユーロへの交換時に為替差損益を所得として認識する必要はありますか。
米ドルへの交換時のレート・・・1ドル=84円、11,904ドル
ユーロへの交換時のレート・・・1ユーロ=111円、9,100ユ-ロ
為替差損益は、一般的には異なる通貨の交換(往復)により発生するものですが、円から米ドルに交換し、これをユーロ等他の外国通貨に交換した場合であっても、その外国通貨への交換時に、当該外国通貨(ユーロ)の額をその交換時の為替レートにより円換算した金額と当初の円から米ドルへの交換時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)が所得税法第36条の収入すべき金額として実現したと考えられますので、これを所得として認識する必要があります。
本問の場合、(9,100ユーロ×111円)-(11,904ドル×84円)=10,164円の所得が認識されることとなります。
(注) 外貨建預貯金の元本及び利子をあらかじめ約定した率により他の外国通貨で支払われる場合の元本部
分に係る差益については、外国通貨を円に交換(往復)する取引ではないものの、その支払時において
課税(収入すべき金額として認識)することとされており(所得税法第174条第7号、第209条の2、所
得税法施行令第298条第4項第2号)、為替差損益を所得として認識するかどうかは、異なる通貨の交換
(往復)に限られるものではありません。
所得税法第174条 内国法人に係る所得税の課税標準
内国法人に対して課する所得税の課税標準は、その内国法人が国内において支払を受けるべき次に掲げるものの額(第10号に掲げる賞金については、その額から政令で定める金額を控除した残額)とする。
七 外国通貨で表示された預貯金でその元本及び利子をあらかじめ約定した率により本邦通貨又は当該
外国通貨以外の外国通貨に換算して支払うこととされているものの差益(当該換算による差益とし
て政令で定めるものをいう。)
所得税法第209条の2 源泉徴収義務
居住者に対し国内において第174条第3号から第8号まで(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補てん金、利息、利益又は差益の支払をする者は、その支払の際、その給付補てん金、利息、利益又は差益について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
所得税法施行令第298条 内国法人に係る所得税の課税標準
4 法第174条第7号に規定する政令で定める差益は、次の各号に掲げる預貯金の区分に応じ当該各号に定める差益とする。
一 外国通貨で表示された預貯金でその元本及び利子をあらかじめ約定した率により本邦通貨に換算して支
払うこととされているもの 当該元本についてあらかじめ約定した率により本邦通貨に換算した金額から
当該元本について当該預貯金の預入の日における外国為替の売買相場により本邦通貨に換算した金額を控
除した残額に相当する差益
二 外国通貨で表示された預貯金でその元本及び利子をあらかじめ約定した率により当該外国通貨以外の外
国通貨(以下この号において「他の外国通貨」という。)に換算して支払うこととされているもの 当該
元本についてあらかじめ約定した率により当該他の外国通貨に換算して支払うこととされている金額から
当該元本について当該預貯金の預入の日における外国為替の売買相場により当該他の外国通貨に換算した
金額を控除した残額につき、当該他の外国通貨に換算して支払うこととされている時における外国為替の
売買相場により本邦通貨に換算した金額に相当する差益