平成24年著作権法改正論点(1)

 平成24年通常国会での著作権法一部改正案の審議の過程において、いわゆる「違法ダウンロードの刑事罰

化」を内容とする修正案が提出され、6 月に可決、成立しました。

 

 具体的には、私的使用の目的であっても、有償著作物等の場合には、著作権又は著作隣接権を侵害する自

動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著

作隣接権を侵害した者は、2 年以下の懲役若しくは 200 万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すること

とされています(平成 24 年 10 月 1 日施行)。

 

 

 

 

 違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法

ではなく、刑罰の対象とはなりません。

 

 違法となるのは、私的使用の目的であっても、著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して

行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害する行為です。

 

 YOU TUBE等動画投稿サイトにおいては、データをダウンロードしながら再生するという仕組みの

ものがあり、この場合、動画の閲覧に際して、複製(録音又は録画)が伴うことになります。

 

 しかしながら、このような複製(キャッシュ)に関しては、第47条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにより著作権侵害には該当せず、「著作権又は著作隣接権を侵害した」という要件を満たしません