就労不能損害に対する賠償金の一括払いについて
就労不能損害に対する賠償金の一括払いは、その対象期間に係る逸失利益について支払われるものですので、就労不能損害に対するものは一時所得の収入金額とされるものです。
従来の3か月ごとの請求・支払は確定した賠償金の額が支払われるもので、精算が生じることはありませんでしたが、今般の賠償金の一括払いは、その対象期間に係る逸失利益を支払うものであっても、次のとおり、精算することが必要になる場合があります。
(イ) 平成24年3月1日以降の就労不能損害に対する賠償金の額の算定に当たっては、本件事故以降に転職や
臨時の就労によって実際に得られた収入のうち月額50万円までは、特別の努力として賠償金の額から
控除しないこととされています。
(ロ) 今般の就労不能損害に対する賠償金の一括払いにおいても、(イ)の考え方に基づき、特別の努力を反
映させた金額が支払われることとされていますが、転職等によって得られる収入の部分は、これまで
支払われた賠償金の額の算定上用いた金額を基に計算されます。
(ハ) そのため、今後対象期間の途中で転職等によって得られる収入に変動が生じた場合には、先に支払わ
れた一括払いの賠償金に過不足が生じることになるため、申し出が必要となります。
(ニ) 上記(イ)から(ハ)のとおり、就労不能損害に対する賠償金の一括払いは、転職等によって得られる収
入の部分について現状の収入金額が継続することを前提に算定した金額が支払われるものなので、こ
の前提事実と異なることが生じた場合には、支払われた金額を精算することになります。また、この
転職等によって得られる収入金額の多寡は時の経過によって確定するものであることを踏まえると、
この一括払いによる賠償金の額は、その対象期間中の時の経過に応じて金額が最終的に確定していく
ものと考えられます。
上記のとおり、就労不能損害に対する賠償金の一括払いは、一定の前提の下で支払われ、必要に応じて精算することが予定されているものなので、その対象期間中の時の経過に応じて金額が最終的に確定していくものです。
したがって、被害を受けられた方にとっては、それぞれ一括払いの対象期間中の各年分の収入として一時所得の収入金額に算入することになると考えられます