避難等対象者への賠償金(1)

 福島第一・第二原子力発電所の事故により被害を受けられた方々に支払われる賠償金に関する所得税法上の取扱いについて

 

 

 

イ 避難生活等による精神的損害

 

 避難生活等による精神的損害に対する賠償金は、避難等によって被られた精神的苦痛に対する損害について、避難の状況や期間に応じてお支払するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(所令30一)に該当し、非課税となります。

 

ロ 避難・帰宅費用

 

 避難・帰宅費用に係る賠償金は、避難等対象者の方が避難又はご帰宅に伴い負担された交通費、宿泊費、家財道具の移動費用についてお支払するものであり、不法行為その他突発的な事故により資産(財産)に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(所令30二)に該当し、非課税となります。

 

ハ 一時立入費用

 

 一時立入費用に係る賠償金は、避難等対象者の方が、一時立入の際に負担された交通費、宿泊費、家財道具の移動費用、除染費用についてお支払するものであり、不法行為その他突発的な事故により資産(財産)に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(所令30二)に該当し、非課税となります。

 

ニ 生命・身体的損害

 

 生命・身体的損害に対する賠償金は、避難等対象者の方が避難等を余儀なくされたために

 

(イ) 傷害を負い、健康状態が悪化し、疾病にかかり、あるいは死亡された場合

 

(ロ) 健康状態の悪化等を防止するために医療費等を支払った場合

 

に該当することとなったときに、その生じた損害の内容に応じて、

 

(a) 医療費及びその付随費用

 

(b) 傷害、健康状態の悪化若しくは疾病により就労不能となった場合の給与等の減収分(生命・身体的

   損害による就労不能損害)

 

(c) 入通院慰謝料

 

をお支払するものです。

 

 これらの賠償金は、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金、又は心身に加えられた損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかったことによる給与又は収益の補償として受けるもの(所令30一)に該当し、非課税となります。

 

(注) 「放射線被曝による損害」については、ご請求があった場合は個別に対応を協議させていただくこ

   ととしているますが、この場合に支払われる賠償金は、生命・身体的損害に対するものですので、上

   記と同様に心身に加えられた損害につき支払われるものに該当し、非課税となります。

 

 

 

 本日は課税要件を構成しないものですが、課税されるものもあるので留意が必要となります。