同族会社に支払った不動産管理料(5)

 今日は税務調査の状況等について検討します。

 

 

請求人の確定申告に対する原処分庁の調査の状況等

 

 

 請求人は、平成15年5月に、請求人の

 

平成12年分、平成13年分及び平成14年分の所得税並びに

 

平成12年1月1日から平成12年12月31日まで、

平成13年1月1日から平成13年12月31日まで

及び平成14年1月1日から平成14年12月31日まで

の各課税期間の消費税等の各確定申告

 

について原処分庁所属の調査担当職員による調査を受けた。

 

 

 その際、前回調査の調査担当職員は、

 

 本件契約が請求人及びMほか5名(Mほか6名のうちの1名が平成12年死亡し、相続が開始した後の本件建物の共有者である。以下「Mら」という。)を賃貸人とし

 

K社を賃借人とする

 

本件建物に係る賃貸借契約であることから、

 

本件賃料が請求人に帰属する旨指摘し、請求人は、当該指摘の後の平成15年6月9日に、先行各課税期間に係る消費税等の修正申告書を原処分庁に提出した。

 

 

前回調査後の覚書について

 

 

 請求人ら及びK社は、前回調査後の平成15年8月10日付で、

 

 本件契約に関し「契約者変更に関する覚書」と題する文書(以下「平成15年覚書」という。)を作成し取り交わした。

 

 

 平成15年覚書の記載内容は、要旨以下のとおりである。

 

 

(イ) 請求人ら及びK社は、平成14年12月31日をもって、本件契約における請求人の地位(権利義務一切)

   を請求人らが共有することを確認する。

 

 

   なお、本件契約における請求人らの権利義務は、特段の定めがある場合を除き、

 

   請求人が270,726分の34,289、

 

   Fらがそれぞれ270,726分の8,563とする(第1条第1項及び第2項)。

 

 

(ロ) K社から請求人らに支払われる月額賃料は、請求人には2,995,301円(税込み)、

 

   Fらにはそれぞれ747,956円(税込み)とする(第2条第1項)。

 

(ハ) K社は、本件賃料の支払先として、請求人らの指定により、

 

   P銀行e支店の本件法人名義の普通預金口座に一括して振り込むものとし、

 

   請求人らにおいて上記(ロ)の金額に従って精算する(第2条第2項)。

 

 

(ニ) Fらは、平成14年12月31日をもって、

 

   本件地位承継契約における請求人の保証人の地位から離脱し、

 

   同日付にて本件契約における請求人のK社に対する債務

 

  (K社が請求人に預託している敷金27,482,636円の請求人の返還債務)は、

 

   請求人らの連帯債務とする(第3条)。

 

 

(ホ) 請求人及びK社は、平成15年覚書にて変更された事項以外は、本件契約に変更のないことを確認す

   る(第4条)。

 

 

平成15年覚書作成後の覚書について

 

 

 請求人及びMらは、平成17年10月29日付及び平成20年2月12日付で、K社との間で、本件契約の期限をそれぞれ平成20年6月29日及び平成23年6月29日まで延長し、本件契約の期限の延長以外は本件契約の契約内容に変更がない旨の覚書を作成し取り交わした。

 

 

請求人らの生活状況について

 

 

 請求人らは、前回調査前からa市b町○-○に所在する家屋において起居しており、生計を一にしている。

 

 

調査で指摘されたのは次のとおりです。

 

 K社から支払われる賃料を請求人らで分配していたところ、

 

 本件契約は、本件建物の賃貸借契約であり、

 

 FらがK社から土地の賃料を受け取ることはこのままの契約では認められず、

 

 また、親子間の賃貸借は違法である旨の指摘を受けた。

 

 つまり、建物は請求人所有のものであり、当該建物の敷地は請求人と長女次女Fらとの共有であり、原契約では建物賃貸借契約しか認定できなかった、ということです。この場合、借地権の認定権利金課税の問題は法人側に生じますので、留意が必要であったと想定されます。

 

 さらに、建物賃貸借取引と認定し、生計一を認定し、請求人から長女Fらへの対価の支払いを所得税法上否認し、請求人の消費税の課税売上高を増額させたのです。

 

 契約書の存否や税理士の関与程度によっては、この増額更正は回避できると想定されます。