同族会社に支払った不動産管理料(4)

 Hさんの妻である請求人が所有権を有する建物及び土地を,請求人の子らが経営する同族会社たるK法人に賃貸し,かつ当該賃貸にかかる管理を請求人がK法人に委託していました。

 

 当該賃貸料が,法人と個人の間で行ったり来たりすることになります。

 

 

 請求人らは、平成6年5月31日付で、本件K法人との間で請求人の所有する本件建物持分及び請求人の所有する本件土地の管理を本件K法人に委託し、

 

 併せて、請求人がK社から受領すべき本件契約に基づく賃料を

 

 本件K法人に代理受領させる旨の各委託契約(以下「本件管理委託契約」という。)を締結し、

 

 本件管理委託契約に係る「土地建物管理委託契約書」と題する契約書(以下「平成6年管理委託契約書」という。)を作成した。

 

 

 平成6年管理委託契約書に記載された本件管理委託契約の内容は、要旨以下のとおりである。

 

 

(イ) 請求人は、本件建物持分及び本件土地に係る請求人の共有持分の管理を本件法人に委託し、

 

   長女Fらは、本件土地に係る各自の共有持分の管理を本件法人に委託する。

 

 

(ロ) 本件法人は、K社が請求人に支払う賃料月額4,195,873円を代理受領し、

 

   当該賃料のうち本件管理費として1,677,873円を収受し、

 

   その残額の2,518,000円については、10日以内に

 

   請求人に対して1,679,000円を、

 

   Fらに対して各419,500円をそれぞれ支払う。

 

 

(ハ) 本件法人がMほか6名の不動産管理会社であるN社に支払うビル管理分担金、

 

   火災その他の保険料及び簡単な補修費用等は、

 

   本件管理費に含まれるものとする。

 

 

 

この後が問題で,税務調査への引き金を引くことになったと想定されます。

 

 

 本件管理委託契約の改定等

 

 

 

(イ) 請求人ら及び本件K法人は、平成10年1月1日付で、請求人がK社から受領すべき本件契約に基づく賃

   料の増額及び本件管理費の減額により請求人らの受領する金員が増加したとして本件管理委託契約を

   改定し、

 

   要旨以下のとおりの内容が記載された「土地建物管理委託契約書」と題する契約書(以下「平成10年

   管理委託契約書」という。)を作成した。

 

 

A 本件K法人は、K社が請求人に支払う賃料月額4,277,346円を代理受領し、

 

  当該賃料のうち本件管理費として855,469円を受領する。

 

B 上記Aの残額の3,421,877円については、

 

  請求人に対して2,282,135円を、

 

  Fらに対して各569,871円をそれぞれ支払う。

 

 

(ロ) さらに、請求人ら及び本件法人は、平成11年12月25日付で、本件契約に係る賃料が増額されたことを

   受けて、要旨以下のとおりの内容が記載された「覚書」と題する文書(以下「平成11年覚書」とい

   う。)を作成した。

 

 

A 本件K法人は、K社が請求人に支払う賃料月額4,491,213円を代理受領し、

 

  当該賃料のうち本件管理費として898,241円を受領する。

 

B 上記Aの残額の3,592,972円については、

 

  請求人に対して2,396,242円を、

 

  Fらに対して各598,365円をそれぞれ支払う。

 

 

 

 

 請求人やFらの確定申告書は,賃料収入が短い期間で変動しました。

 

 申告書等書類だけでは不明点が多いため,

 

 平成15年5月に早速,平成12年分、平成13年分及び平成14年分について,税務調査されることになりました。

 

 課税売上高が1千万円を超えるため,消費税の納税義務も生じています。所得税と消費税等について綿密に調査されることとなりました。