本日は先日の賃貸借契約に係る「建物賃貸借並びに建築協力融資金に関する契約書」と題する契約書の内容を検討します。
(イ) Hらは、本件各土地上に本件建物を建築し、Hらを賃貸人としてK社に賃貸する(賃貸借延面積
16,306.126。一部地下2階部分は賃貸借面積に含まれない。)。
Hらは、本件建物について所有権保存登記を行うが、Hらの各共有持分割合は、土地合計面積に対す
る各自の提供敷地面積(Hの提供敷地面積は、514.15。)の割合とする(第2条、第3条)。
(ロ) 賃貸借期間は、K社の現実の店舗の開店日から満20か年間とし、賃貸借期間満了と同時に賃貸借契約
を終了させようとするときは、期間満了の6か月前までに相手方に書面をもって予告しなければならな
い。ただし、当該予告がない場合は、賃貸借期間は同一条件をもって更に3か年間更新される(第6条第
1項、第3項及び第4項)。
(ハ) K社がHらに支払う月額賃料の算出方法は、次のとおりとする(第8条第1項)。
A Hに対する賃料
3.3058(1坪)当たり2,000円にHの共有持分割合(270,726分の51,415)及び賃貸借延面積
(16,306.126)を乗じた額
B Jらに対する賃料
3.3058(1坪)当たり2,100円にJらの共有持分割合(270,726分の219,311)及び賃貸借延面積
(16,306.126)を乗じた額
(ニ) 上記(ハ)の賃料は、賃貸借の始期より満3か年間は据え置き、4年目の始め及び以後3年ごとに前年度
賃料から10パーセントずつ値上げするものとするが、諸般の経済的事情の変化等を考慮して増減できる
ものとする(第8条第3項)。
(ホ) 本件各土地のうち本件建物の屋外の空地部分の使用権は、K社に属し、K社及びK社の転借人の営業上
必要がある場合は、当該屋外部分において無償で営業し、使用することができる(第10条)。
(ヘ) 本件契約におけるHらの権利義務は、特段の定めがある場合を除き、次の割合による共有とする(第
22条第1項)。
A H 270,726分の51,415
B Jら 270,726分の219,311
本件建物の登記について
Hらは、本件建物が完成した後、昭和48年9月14日付で、本件建物について、Hらを共有者とし、本件契約に基づき各自の共有持分割合を本件各土地に係る仮換地の地積の合計に対する各自の提供敷地面積の割合とする所有権保存登記手続を行った。
以上は金額について適当であるかという点を除き契約書としては問題ないように思われます。
問題が生じるのはこのあと,Hが死亡し,Hの相続人であるK社の代表Fと相続人である請求人がK社の敷地等を相続することになったことを基因とするのです。