以下の事実が裁判所により,認定されました。
今日は9月に行われた税務調査の部分を検討します。
原告の主張とかけ離れています。
(1) 平成15年9月8日(以下「平成15年」は省略する。)
ア 丙及び国税調査官戊(以下「戊」という。)は、午後1時ころ、コピー機1台を携行して、調査を
行うことを原告に事前に連絡せずに原告の店舗に臨場した。
そして、丙及び戊は、原告に対し、それぞれ身分証明書を提示して、平成12年ないし14年分の
所得税及び同課税期間の消費税の申告内容を確認するために調査に来たこと、必要があれば平成12
年分より前の年分も調査することを伝え、原告から承諾を得て、税務調査に着手した。
イ 丙は、原告に対し、売上げの記帳状況を尋ねたところ、原告が、レジのジャーナルテープから収支
日計式簡易帳簿(以下「簡易帳簿」という。)に売上げを記録している旨、平成15年2月分まで記
帳した簡易帳簿を自宅に置いている旨答えたため、上席国税調査官E(以下「E」という。)に電話
し、広島市にある原告の自宅(以下「原告宅」という。)に赴き原告の妻F(以下「F」という。)
から帳簿書類の提示を求めるように指示した。
Eは、原告宅に赴き、Fに対して帳簿書類の提示を求めたところ、Fが原告がここ1年くらい原告
宅に帰っておらず帳簿書類は原告宅に一切ない旨供述したため、Fに対する質問調査を打ち切り、戊
に電話し、Fの供述内容を伝え、E自身も原告の店舗に向かった。
丙は、原告に対し、Eから確認したFの供述内容を伝えた上、簡易帳簿の作成状況及び帳簿書類の
保管場所を尋ねた。
これに対し、原告は、当初の供述内容と異なり、平成15年分の簡易帳簿は付けていないが平成1
4年分までの簡易帳簿は付けている、最近の帳簿書類は店のどこかにある旨答えた。
ウ 本件店舗に到着したEは、原告から、平成15年分の簡易帳簿1冊及び冷蔵庫の横に積み上げられ
ていた帳簿書類の提示を受け、これらの検討をした。
丙は、原告から、厨房入口脇に置かれたレジの下に置かれた書類(売上伝票、ジャーナルテープ、
経費の領収書など)の提示を受け、さらに、原告の承諾を得て厨房に入って帳簿書類等を探すなどし
たが、帳簿書類はなかった。
そして、原告からカウンターの棚の中にあった預金通帳、保険証券などの提示も受けた。
エ その後、丙らは、原告が普段寝泊まりしているというA2階204号室や原告の車両等を検査した
が、結局、平成7年8月分以前の簡易帳簿と主に平成15年分の書類の提示を受けたにとどまり、平
成7年9月分以後の帳簿及び平成14年分以前の売上伝票、ジャーナルテープ、経費の領収書などの
書類を発見することはできなかった。
また、A5階に住んでいる女性従業員やFから事情を聴いたが帳簿の所在を確認することはできな
かった。特にFには、原告から生活費として受け取っている額や原告が外で飲酒をする頻度などを訊
いた。
丙ら4名は、午後4時ころ、本件店舗を辞去した。
(2) 9月9日
丙及びEは、午後1時過ぎころ、本件店舗に赴き、厨房、レジ周辺、倉庫を再度検査したが、新たに帳簿書類を発見することはできなかった。
そこで、丙は、原告に対し、本当に帳簿を付けているか尋ねたところ、原告は、平成7年8月ころから帳簿を付けていない、平成14年分以前の書類を処分した旨答えた。
丙は、原告が前日から帳簿書類の作成・保管状況に関する答弁内容を再三変遷させ、ついには帳簿を作成しておらず書類を処分したなどと述べたので、その内容を後日明らかにするため、聴取書を作成することとし、原告に対し、住所、氏名、生年月日、健康状態、売上金額の集計方法、帳簿の作成状況、書類の保管状況を尋ね、原告の供述を聴取書に直接記録した。
その際、原告は、自己の健康状態について、「今は、いい、健康です。」と答弁した。また、原告は、帳簿の作成状況について、平成7年8月分までは帳簿を付けていたが、それ以後は付けていない旨、及び書類の保管状況について、平成14年分以前の売上伝票、ジャーナルテープ、請求書、領収書などの書類はすべて処分した旨再度答弁した。
丙及びEは、聴取書の作成を終えると、原告に対し、必要があればまた伺う旨告げて、午後4時ころ、本件店舗を辞去した。
(3) 9月10日
丙及び丁は、午後1時10分ころ、無予告で本件店舗に臨場した。
丙は、原告に対し、所得税法148条、150条及び消費税法30条の各条文の写しを交付した上、
帳簿書類の備付け、記録又は保存が確認できなければ所得税の青色申告の承認の取消事由に該当する旨、
また、
帳簿及び請求書等の保存が確認できなければ消費税の仕入税額控除が認められない旨を説明した。
その上で、原告に対し、帳簿書類の保存があれば、提示するように求めるとともに、必要があればまた伺う旨告げ、午後1時45分ころ、丁とともに本件店舗を辞去した。
(4) 9月18日
丙及び戊は、午後1時30分ころ、本件店舗に臨場した。
丙は、原告に対し、6、7年前(平成8、9年)の客数、収入金額は平成15年のそれらと比べて多かったか、それとも少なかったかを確認した上で、簡易帳簿に記録された売上金額と所得税青色申告決算書に記載された売上金額との差額がなぜ生じるか尋ねたが、原告は、分からない、覚えていない旨答えた。
そこで、丙は、聴取書を作成することにし、同日の原告の発言内容と丙が原告に帳簿書類の提示を求めたやり取りを聴取書に記録した。
その後、丙は、原告に聴取書を読んでもらい、原告が間違いないと述べたので、聴取書の末尾に「上記の通り相違ありません」との文言、聴取書の作成年月日、住所及び氏名を書いて押印するように求めた。原告は、これに応じた。
丙は、聴取書の作成を終えると、原告に対し、必要があればまた伺う旨告げ、午後2時30分ころ、戊とともに本件店舗を辞去した。