先日の焼き肉屋さんの主張に対して,税務署は以下のように主張しました。
被告の主張
ア 原告が平成15年10月1日原告の店舗に臨場した広島西税務署職員に対し体調不良を説明し、調査延
期を申し出たとの事実は否認する。
調査官丙は、同日、原告から胃の調子が悪いので入院するかもしれないという話を聞いただけである。
また、原告が同月9日に体調不良等を説明し、調査延期を申し出たとの事実も否認する。
原告の主張に沿う原告本人の供述は、不明確な記憶に基づくものであり、信用できない。
イ 質問検査権の行使に伴う一連の行為が国家賠償法上違法であるか否かは、調査担当者の質問検査が所得
税法234条及び消費税法62条の定める一定の要件及び手続に従って行われたか、換言すれば、調査担
当者が質問検査権の行使に当たって遵守すべき根拠規範(行為規範)ないし職務義務に違反しているか否
かによって判断しなければならない。
そして、所得税法234条及び消費税法62条の規定は、国税庁、国税局又は税務署の調査権限を有す
る職員において、当該調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、相
手方の事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断された場合には、職権に
よる調査の一方法として、それぞれ同条1項各号規定の者に対し質問し、又はその事業に関する帳簿、書
類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行う権限を認めた趣旨であって、この場合の質問検
査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、客観的に質問検査の必
要性があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な程度にとどまる限り、権
限ある税務職員の合理的な選択に委ねられているものと解すべきである。
ウ 本件においては、原告が具体的に自らの健康状態を説明して調査の延期を申し入れた事実はなく、その
他、調査官丙らの質問検査権の行使が社会通念上の相当性の範囲を逸脱したと認められる事情もないか
ら、広島西税務署職員らの原告に対する税務調査が国家賠償法上違法であるということはできない。