記帳義務(2)

 会計ソフトを使用して,帳簿をつけるのであれば,青色申告にするのが断然お得です。実際に記帳にかかる手間代としてでしょうか,一定の場合,その年分の所得から年額65万円控除されることになります。

 

 

 

 

1  記帳のしかたと青色申告特別控除との関係

 

 青色申告特別控除には、10万円の特別控除と65万円の特別控除の2種類の特別控除が設けられており、65万円の特別控除を受けるためには「正規の簿記の原則」(いわゆる複式簿記)により作成された損益計算書とともに貸借対照表を確定申告書に添付し、確定申告書をその提出期限までに提出することが要件とされています。

 

 つまり、「正規の簿記の原則」による会計帳簿作成という原則的な記帳をしている場合は65万円の特別控除の適用が可能ですが、「簡易な帳簿(簡易な簿記)」を作成している場合には帳簿等から誘導して貸借対照表を作成できませんので、結果として65万円の特別控除の適用はなく、10万円の特別控除しか受けられないことになります。

 

 

2  正規の簿記とは

 

 いわゆる「正規の簿記」とは、「資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を正規の簿記の原則に従い、整然と、かつ、明瞭に記録し、その記録に基づき、貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない」との規定に基づく記帳方法を称しています。したがって、「正規の簿記」とは、損益計算書と貸借対照表が導き出せる組織的な簿記の方式が正規の簿記といえ、一般的には複式簿記をいいます。

 

 ただし、簡易帳簿を利用した正規の簿記の方法もあります。すなわち、日々の継続的な記録及び棚卸資産の棚卸しやその他の決算整理を行うことにより、貸借対照表と損益計算書を作成できる程度の組織的な簿記も「正規の簿記」に該当すると考えられますので、簡易帳簿では記帳されない預金・手形・元入金・その他

の債権債務について、新たに「債権債務等記入帳」等を備え付けて、すべての取引を整然と記録することによっても、「正規の簿記の原則」に従った記帳ができます。

 

 

3  記帳開始の準備及び帳簿組織の決定

 

 新たに65万円の特別控除を受けようとする場合には、確定申告書と損益計算書に加えて貸借対照表を添付することが必要ですから、そのための記帳等は各年の1月から始めることになります。

 

 したがって、既に「正規の簿記の原則」によって記帳等を行っている場合を除き、各年の1月から事業用の財産とそれ以外とに区分して記帳するとともに、資産や負債の金額についても整理するなど、貸借対照表の作成を前提とした記帳等を行うことが必要です。

 

 そのため、今後、「正規の簿記の原則」に切り替える場合には、具体的にどのような帳簿組織や記帳等が必要になるかを検討して、ご自分の事業実態にあった帳簿組織を選択するとともに、必要な勘定項目を決めることが大切です。

 

 

 

 

 

 65万円の青色申告特別控除の要件を満たす帳簿組織はこの会計ソフトで,簡単に作成できます。