パラツィーナ事件(7)

 本日はIFDに対する担保権付与に係る契約書を概観します。

 

 

 エンペリオン等のIFDに対する本件配給契約及び本件オプション契約に基づく義務の完全な履行を担保するため締結された契約書としては、Security Agreement Option…EFE to IFDと題する書面(以下、「本件オプション担保契約書」といい、その内容を「本件オプション担保契約」という。)及びSecurity Agreement Distribution…EFE to IFDと題する書面(以下、「本件配給担保契約書」といい、その内容を「本件配給担保契約」という。)がある。これら各契約書には、概ね次のような規定がある。

 

(イ) エンペリオン等は、本件オプション契約及び本件配給契約に係る権利につき、IFDに、エンペリ

   オン等にあっては本件オプション担保契約による第一順位の担保を設定し、あるいは譲渡、移転等を

   し、エンペリオンにあっては本件配給担保契約による第二順位の担保を設定し、あるいは譲渡、移転

   等をする。

 

(ロ) 担保物件は、本件映画から派生する著作物、本件映画のオリジナル・ネガティブ及びその他の化体

   物件に対するエンペリオンのすべての権利、権原及び権益であり、各組合員にあってはその組合員と

   しての権益とする。

 

(ハ) エンペリオンは、IFDの事前の書面による同意なく、担保物件又はこれに関する権利の担保提

   供、譲渡、引渡し等をしてはならない。IFDは、本件オプション担保契約及び本件配給担保契約に

   基づく権利及び担保物件又はこれに関する権利につき、エンペリオンの事前の同意なく、第三者に対

   し、担保提供、譲渡、引渡し等をすることができる。

 

(ニ) エンペリオンは、カリフォルニア州及びニューヨーク州当局へのUCCファイリングのためのファ

   イナンシング・ステートメント等並びに著作権担保・譲渡証をIFDに交付しなければならず、ま

   た、IFDがその権利、担保を証明し、完遂し、有効化し、又は保護するに必要と認められる手段を

   取るため要求するその他の書類を交付しなければならない。エンペリオンが右要求後5日以内に所要

   の措置を取らない場合、エンペリオンは、IFDがIFD自身及びエンペリオンの名においてすべて

   の措置を取ることを授権し、また、この点に関し、IFDを代理人に任命する。この授権及び任命は

   撤回不能である。

 

(ホ) エンペリオンは、本件売買契約によるラボラトリーを担保権者としてのIFDの代理人に撤回不能

   で任命し、ラボラトリーが所要の措置を取るよう指示した指示書をIFDに交付する。右ラボラトリ

   ーは、IFDの代理人として、エンペリオンの債務不履行が生じた場合、IFDの指示により担保物

   件の全部又は一部を処分することを授権される。

 

(ヘ) エンペリオンの各組合員についても、右(ハ)、(ニ)に相当する規定がある。

 

(ト) 債務不履行の場合、IFDはエンペリオン又はその各組合員の代理人に撤回不能で任命され、代理

   人として、書簡の開披のほか、本件配給契約、本件売買契約、その他の関連契約、エンペリオンの組

   織上の規定等による権利を行使すること等ができる。