減殺の対象となる遺贈や贈与の価額については次の3説があります。
第1説
①減殺の対象となる遺贈や贈与の価額は遺留分を超過することを要しないし、
②複数の遺贈が減殺の対象となる場合の民法1034条にいう目的の価額は遺贈の全額であるとする説
第2説
①減殺の対象となる遺贈や贈与はその価額が遺留分を超過するものに限り(遺留分を下回る額の遺贈、贈
与しか受けていない共同相続人は遺留分減殺を受けない)
②複数の遺贈が減殺の対象となる場合の民法一〇三四条にいう目的の価額は遺留分額を超過する額のみで
あるとする説
第3説
①減殺の対象となる遺贈や贈与はその価額が遺留分を超過するものに限るとし、
②複数の遺贈が減殺の対象となる場合の民法1034条にいう目的の価額は原則として遺贈の全額としつ
つ、
③減殺を受けた相続人の取得額が遺留分を下回る結果となる減殺を禁じるという説
本判決は、第2説の考え方が最も合理的であると考えてこれを採用したと考えられます。本件のように多くの相続人に遺贈等がされ、その内容に若干のアンバランスがある場合にはしばしば生じるものであり、実務上注意が必要であるとされます。
では,本件の場合,具体的にどのように計算すればよいでしょうか?