ステップ2では内部環境、業務の流れ、強み・弱みを開示します。
当該会社は、中古本小売事業者ではなく卸専業であるため、当該会社以外の中古小売事業者からの仕入れが可能であり、中古本を扱う業者の中ではほぼ唯一、新刊を正式に仕入れることが可能でした。
このような企業間二次流通の仕組みは、従来の中古本業界におけるプロダクトアウト的な発想のビジネスモデルではなく、同業界におけるマーケットイン的な発想のビジネスモデルの実現を可能とし、当該会社の「仕入れの強み」の源泉となっています。
中古本業界で成長を続けるためには、相当な在庫量が必要であり、在庫力が販売力に直結します。ゆえに、同業界において在庫量の多寡が、企業力に大きな影響をおよぼすといえます。
当該会社社の在庫特性は、Ａランク商材、Ｂランク商材、そしてＣランク商材の3つに区分されます。Ａランク商材は人気が高いため仕入単価も高く、かつ調達難易度が低いコミックであり、その目標平均回転日数は120日以下、Ｂランク商材は出荷頻度がある程度見込まれる定番商品であり、その目標平均回転日数は120日超365日以下となっております。Ｃランク商材は、リバイバルブームに見られるように時代を超えてヒットする商材を戦略的に保管しているものであるため仕入単価は低く、その目標平均回転日数は365日超です。
当該会社では、リバイバルブームなど将来の市場の変化や動向を、書籍の「卸し」としての立場も有するがゆえに、小売事業者や一般消費者に優先していち早く入手することができ、もって確実な市場予見性のもと、相対的に回転率の低く、仕入単価がもっとも低いＣランク商材の在庫を確保しています。
当該会社には、上中物流センター内における徹底したローコストオペレーションに裏打ちされた物流力という強みがあります。当該会社の場合、入庫⇒仕分け⇒棚出し⇒ピッキング⇒加工⇒梱包⇒発送の合計4回となり、作業工程そのものの合理化を実現しています。当社の物流システムでは、「4つの仕事を同時にこなせる書棚」という独自の仕組みを持っており、作業工程の効率化を徹底しています。作業工程そのものの合理化は、作業現場発の日常的な業務改善提案のもと、月あたり出荷冊数の最大化への取り組みの中で生まれた仕組みであるといえます。この仕組みは、上中物流センター内で働くパート・アルバイトの労働環境の良好化にも寄与しており、作業時間の効率化から生まれるゼロ残業、画一化された作業システムから生まれる従業員教育の効率化という成果に結びついています。とくに、離職率が一般的に高く、雇用関係が流動的となるパート・アルバイトに対しても、従業員教育の効率化を実現することで、入社直後から即戦力として活躍できる仕組みを構築しています。
コミックは通常10万マスター存在します。当該会社では、これらすべてのマスターに人気ランキングを設定し、またそれぞれの調達難易度をＤ1～Ｄ5の5段階に区分し、これらをデータベース化しております。このデータベースをもとに、人気ランキングと調達難易度を掛け合わせ、「人気が高く、かつ調達難易度が低い」コミックを優先的に調達することで、調達ロスの最小化を図っています。
また、JANコードがないものも含め、新刊本と中古本の双方の商品マスターを持つことによって、「複合カフェ」や「コミックレンタル」事業者といった顧客のPOSに合わせたデータレイアウトによるデータ登録、そして先方ベンダーとのやりとりによる一括データ組み込みが可能となり、利便性を追求したサービスの付加価値化に大きく寄与しています。
当該会社では、優れた営業力を持っているものの、家庭に埋没している主婦を、セールスレップとして活用しています。このような活用方法を採用することで、優秀な営業力の経済的な活用が可能となったほか、正社員契約とは異なるセールスレップという業務委託関係を持つことで、柔軟な機動的営業を実現するに至っています。また、契約した店舗から得る初月の売上高のうち20％を、インセンティブとしてセールスレップに支払うという仕組みを導入することで、モチベーションの高さを背景に、成約件数が飛躍的に増加するという結果を生んでいます。
主婦の採用から営業研修、案件ごとの進捗管理の方法、週一回実施するミーティングなど、営業戦略の立案や育成については、セレブリックス・ホールディングと協働しています。現在では、主婦10人の応募に対し1人の割合で採用しているため、厳選された能力を持つパートタイム主婦が、当社の営業マンとして活躍しています。
セールスレップという新しい営業スタイルとその仕組みを、外部企業と共同開発し、劇的な成果を収めたことによって、セールスレップを効率的に管理するための「マネジメントシート」や「月間管理表」をはじめ、多くのノウハウが当該会社に強みとして蓄積しています。
