住宅瑕疵担保履行法(4)

 住宅瑕疵担保履行法では、年に2回の基準日(毎年3月31日および9月30日)ごとに、保険や供託の状況について、基準日から3週間以内(4月21日、10月21日までに)届出手続きを行うことが必要です。

 

 

 建設業許可と宅地建物取引業免許を受けている方については、請負契約に基づき引き渡した新築住宅については建設業者として、売買契約に基づき引き渡した新築住宅については宅地建物取引業者として、それぞれ届出手続きが必要となります。

 なお、新築住宅の引き渡しにあたって、販売代理や媒介を行う宅地建物取引業者は、資力確保措置自体の義務は課されませんが、買主に対して、宅地建物取引業法第35条の重要事項説明や同法第37条の書面交付において対応が必要になります。 また、宅建業者が発注者となり、建設業者から新築住宅の引き渡しを受ける場合、建設業者には資力確保措置の義務はありませんので注意が必要です。

 

 

届出に必要な書類

 

   ① 届出書

     建設業者:第1号様式

     宅地建物取引業者:第7号様式

   ② 引渡物件の一覧表

     建設業者:第1号の2様式

     宅地建物取引業者:第7号の2様式

     ③ 保険契約締結証明書、供託書の写し

     保険契約締結証明書

       供託書(供託所に供託したときに発行されます。)

 

 

 

 

 供託や保険契約の締結状況の届出がなされない場合や、届出内容に虚偽があった場合、50万円以下の罰金が科されます。また、届出を行わずに新たな契約を行った場合は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはその両方に処せられます。

 

 資力確保措置が適正に行われるための仕組みとして、事業者が資力確保措置やその状況に関する届出を行わない場合、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降において、新たに売主となり新築住宅の売買契約を締結することが禁止されます。

 

 この禁止を解除するには、資力確保措置を行い、免許行政庁の確認を受けることが必要になります。ただし、義務を果たさないことを理由とした、宅地建物取引業法に基づく業務停止の処分を受けていないことが必要です。

 

 消費者保護の観点からは、買主や発注者に対して、自らが取得する新築住宅が供託、保険のいずれにより資力確保措置が行われているかを知らせておく必要があります。

 

 これにより、万一、瑕疵が判明したにもかかわらず、事業者が瑕疵担保責任を履行しない場合でも、買主や発注者は、住宅瑕疵担保保証金の還付請求、住宅瑕疵担保責任保険の保険金の支払い請求を行うことができます。

 

 また、供託の場合、買主や発注者は、他の債権者に先立って、住宅瑕疵担保保証金から優先弁済を受ける権利を有することになります。

 

 なお、保険に加入している住宅を取得した人は、指定住宅紛争処理機関の紛争処理を利用することができます。

 

 事業者が補修等を行えない場合(倒産しているなど)、この保険に加入している新築住宅を取得した人は、保険法人に対して、補修などにかかる費用を直接請求することができます。

 

 供託制度の場合、供託金は、過去10年間に供給した新築住宅の戸数に応じて算定され、 1棟あたり、最低2000万円の供託金が必要となります。

 

 事業者が補修等を行えない場合(倒産しているなど)、新築住宅を取得している人は、供託所に対して瑕疵の補修等に必要な金額について、保証金からの還付を直接請求することができます。